22時10分のトマトサラダ

Yesterday is Tomorrow.

カーボンの応力集中(?)

1年生の頃によく先輩から、「応力集中がやばそう」と言われましたが、知らない僕はチンプンカンプンでした。

 

カーボンを使用する際の応力集中には注意が必要です。

 

積層構成に依存します。

 

 

 

すんごくふんわりまとめます。

 

 

応力集中とは


5人で重りを持ちます。

 

もってるなう▼

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 5人なら耐えている重りですが、中3人消えたら大変です。

 

消えた▼

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重い、、▼

f:id:nu2ki:20180919000603j:plain

 

2人で重りを持つことになります。

ただのイメージです。

ホントはもっとややこしいです。

 

これを板材に当てはめます。(赤い矢印が荷重です。)

 

板材イメージ図▼

 

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ここで青い所にひずみゲージを貼って、計算によって応力を求めます。

 

ひずみゲージを貼る▼

 

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材料:A1070

幅W:100mm

穴径d:10mm

板厚t:6mm

荷重P:7kN 

で測定します。

 

公称応力は以下の式で求めます。

 

▼式⑴

f:id:nu2ki:20180919164251j:plain

 

また、理論値を計算によって算出することができます。

(rは円孔の縁からの距離です。)

 

▼式⑵

f:id:nu2ki:20180919000832j:plain

 

この式はTimoshenkoさんの式です。

 

これらの値を一つのグラフにまとめるとこんな感じです。

 

▼グラフ⑴

f:id:nu2ki:20180919000744p:plain

 

穴が開くことによって大きな応力が発生しています。

円孔の縁から離れていくにつれて応力は小さくなっていきます。

縁付近の人は大変ですね

 

理論値と実測値はかなり近い値を示しています。

(理論値は板の幅は無限であるとして計算しています。)

 

ここで応力集中はこの式で算出されます。

 

▼式⑶

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縁だと大体3になります。(2.99)

 

この値は、よく材力の教科書で見る、穴を開けた時の応力集中係数と同じです

 

▼式⑷

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▼穴の説明図

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これは等方材料だからです。積層材料は異方性材料です。

なのでこれとは違った感じになります。

 

積層(CFRP)の応力集中


さてここで積層した単板の応力集中について見てみます。

 

少し古いですが、こちらの論文を参考にします。(論文1とします)

日本航空宇宙学会誌

1986 年 34 巻 391 号 p. 436-446

一様引張またはボルト荷重を受けるCFRP積層板の円孔まわりの応力集中

小林 繁夫, 吉岡 透

 

積層構成の異なる単板を5種類用意します。

 

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論文1|p437

 

今回は円孔の縁の応力集中係数について見てみます。

角度は下の図のようになっています。

 

▼角度θ設定

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この論文では、穴と板幅の比が0.25となるような場合で考えています。

 

先ほどのA1070の材料の応力集中は、

θ=90°のところを見ていたことになります

 

角度ごとに応力集中係数をプロットするとこんな感じになります。

(これは解析値です。) 

 

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論文1|p439

 

θ=90°を見ると様々な値をとっていることがわかります。

 

L3-5は0°と90°のみから積層されています。

90°の割合が大きくなると、θ=90°の地点での応力集中係数は小さくなります。

 

しかし、θ=0°の応力集中係数はマイナス側へ移動します。

(マイナスは圧縮を意味します。)

基本的な材料は、円孔をあけた場合θ=0°付近では圧縮応力が作用します。

 

試しに、等方性材料の応力集中を角度別で計算してグラフにしてみます。

 

▼グラフ⑵

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L-1のように配向角を満遍なく使用すると、等方性材料に近づく感じですね。

 

カーボンに穴(肉抜き)をあけるときは注意が必要です。

 

ただ、こう言ったっ点でも、炭素繊維の「設計できる材料」であることを生かせるかもしれません。

 

奥が深いですね。

 

ボルト荷重もまたいつか

 

おわり

 

何か間違っていたら教えてください。!!