カーボンの応力集中(?)
1年生の頃によく先輩から、「応力集中がやばそう」と言われましたが、知らない僕はチンプンカンプンでした。
カーボンを使用する際の応力集中には注意が必要です。
積層構成に依存します。
すんごくふんわりまとめます。
応力集中とは
5人で重りを持ちます。
もってるなう▼
5人なら耐えている重りですが、中3人消えたら大変です。
消えた▼
重い、、▼
2人で重りを持つことになります。
ただのイメージです。
ホントはもっとややこしいです。
これを板材に当てはめます。(赤い矢印が荷重です。)
板材イメージ図▼
ここで青い所にひずみゲージを貼って、計算によって応力を求めます。
ひずみゲージを貼る▼
材料:A1070
幅W:100mm
穴径d:10mm
板厚t:6mm
荷重P:7kN
で測定します。
公称応力は以下の式で求めます。
▼式⑴
また、理論値を計算によって算出することができます。
(rは円孔の縁からの距離です。)
▼式⑵
この式はTimoshenkoさんの式です。
これらの値を一つのグラフにまとめるとこんな感じです。
▼グラフ⑴
穴が開くことによって大きな応力が発生しています。
円孔の縁から離れていくにつれて応力は小さくなっていきます。
縁付近の人は大変ですね。
理論値と実測値はかなり近い値を示しています。
(理論値は板の幅は無限であるとして計算しています。)
ここで応力集中はこの式で算出されます。
▼式⑶
縁だと大体3になります。(2.99)
この値は、よく材力の教科書で見る、穴を開けた時の応力集中係数と同じです。
▼式⑷
▼穴の説明図
これは等方材料だからです。積層材料は異方性材料です。
なのでこれとは違った感じになります。
積層(CFRP)の応力集中
さてここで積層した単板の応力集中について見てみます。
少し古いですが、こちらの論文を参考にします。(論文1とします)
日本航空宇宙学会誌
1986 年 34 巻 391 号 p. 436-446
一様引張またはボルト荷重を受けるCFRP積層板の円孔まわりの応力集中
小林 繁夫, 吉岡 透
積層構成の異なる単板を5種類用意します。
論文1|p437
今回は円孔の縁の応力集中係数について見てみます。
角度は下の図のようになっています。
▼角度θ設定
この論文では、穴と板幅の比が0.25となるような場合で考えています。
先ほどのA1070の材料の応力集中は、
θ=90°のところを見ていたことになります。
角度ごとに応力集中係数をプロットするとこんな感じになります。
(これは解析値です。)
論文1|p439
θ=90°を見ると様々な値をとっていることがわかります。
L3-5は0°と90°のみから積層されています。
90°の割合が大きくなると、θ=90°の地点での応力集中係数は小さくなります。
しかし、θ=0°の応力集中係数はマイナス側へ移動します。
(マイナスは圧縮を意味します。)
基本的な材料は、円孔をあけた場合θ=0°付近では圧縮応力が作用します。
試しに、等方性材料の応力集中を角度別で計算してグラフにしてみます。
▼グラフ⑵
L-1のように配向角を満遍なく使用すると、等方性材料に近づく感じですね。
カーボンに穴(肉抜き)をあけるときは注意が必要です。
ただ、こう言ったっ点でも、炭素繊維の「設計できる材料」であることを生かせるかもしれません。
奥が深いですね。
ボルト荷重もまたいつか
おわり
何か間違っていたら教えてください。!!